2023/01/13 14:20
1歳児“エアガン虐待死” 撃たれた痕71カ所、骨折31カ所… 父親の素顔は 初公判へ 【福岡】
暮らし
2023/01/13 18:00
約4年前、福岡県田川市で当時1歳の三男をエアガンで何度も撃ったほか自宅に放置して死亡させた罪に問われている父親の裁判が、1月16日に始まります。
父親の素顔と事件の背景を追いました。
◆常慶被告を知る人
「外ではめっちゃ良い子、ニコニコやし、人当たりはいいと思う。けど、キレたら危ないかな」
知人女性が見た男の二面性。
保護責任者遺棄致死の罪に加え、傷害の罪にも問われている田川市の建設業・常慶雅則(じょうけい・まさのり)被告(27)です。
◆当時のニュースより(2019年11月6日OA)
「速報が入ってきました。1歳の男の子をエアガンで撃ちケガをさせた疑いで、ともに24歳の両親が逮捕されました」
事件が水面下で起きていたのは、この放送のさらに1年前。
起訴状などによりますと、常慶被告は2018年11月下旬ごろ、当時1歳の三男・唯雅(ゆいが)ちゃんに向けてエアガンを至近距離から何度も撃ち大ケガをさせたほか、妻の藍(あい)受刑者と共謀し、2018年12月1日、重度の低栄養状態だった唯雅ちゃんに適切な治療を受けさせず、肺炎で死亡させたとされています。
◆記者リポート(田川警察署、2019年11月)
「午前8時前です。常慶容疑者の身柄が検察庁に送られます」
逮捕から3年あまり。
1月16日から始まる常慶被告の裁判員裁判。
そもそも常慶被告とはどんな人物なのか。
あの一家に何が起きていたのか。
◆常慶被告を知る人
「祭りに関しては非常に一生懸命にやってくれていたし、このような事件になって非常に大変驚いているというのが正直なところ」
事件現場となった団地に幼い頃から住んでいた常慶被告。
地元の行事には積極的に参加するなど好青年の一面もあったといいます。
◆近常慶被告を知る人
「『お兄ちゃーん』みたいな感じで来た子でしたね。結構かわいらしいような」
常慶被告と藍受刑者には2015年に長男が、翌年には二男が誕生しました。
そして2017年、今回の事件の被害者である三男・唯雅ちゃんが生まれたのです。
これは藍受刑者が、唯雅ちゃんの出産前にSNSに書き込んだ投稿です。
◆藍受刑者のツイッター(2017年11月7日)
「今日もご機嫌かわいすぎか~」
2018年夏には長女も誕生し、円満な家庭にも見えた常慶被告の一家。
しかし、藍受刑者の知人は常慶被告の知られざる一面を語ります。
◆記者
「常慶被告の印象は?」
◆藍受刑者の知人
「全然普通の男の子。めっちゃ感じのいい子で、でも段々ちょっと深く入るにつれて自分を出してくる。その時に見たのが、藍(受刑者)を叩く男だった。顔とか踏まれるし、髪の毛引っ張るし、(常慶被告を)止めるしかない。(常慶被告は)『お前、何しよるか!』とガッと言ったと思ったら優しくなるのよ。DVの特徴的な。人間が変わる、そんな子なんよね」
常慶被告からDVを受けていたという藍受刑者。
時に木刀で殴られることもあったといいます。
◆藍受刑者の知人
「藍自体の体には傷はあった。だから藍は守らないといけないと思ったけど(常慶被告から)離れない。たぶん力で抑えられたか、洗脳されて精神的に抑えられたか」
藍受刑者の知人は、常慶被告の暴力は子供にも向けられたと話します。
◆藍受刑者の知人
「(藍の話では)『最近子供を叩くようになった』みたいな。常慶被告は子供が好きじゃないと思う。子供といつまでも対等な関係。弱いものしか叩ききらんと思う」
自宅周辺でも常慶一家の様子を不審に思う住民たちがいました。
◆近所の人
「子供の声がせんし、子供を抱いとるところも見たことないし。部屋に入った途端にぶわっとゴミが散らかっとるとか、そんな感じ」
◆近所の人
「暗い…明るい家庭じゃない」
田川市には唯雅ちゃんの異変について通報が寄せられたこともありました。
◆田川市の会見(2019年11月)
「2018年7月5日、市民より本児(唯雅ちゃん)の泣き声がしないことや、姿を見かけないという相談があっております」
田川市によると、通報から20日後に保健師が唯雅ちゃんの姿を確認。
しかし、その際はあざなどはみられなかったということです。
それから約4カ月後、事件は起きました。
◆藍受刑者からの通報(2018年12月1日、取材による)
「数分前に唯雅が急に泣いて、息が止まり、意識もない」
藍受刑者からの119番で現場に駆け付けた救急隊員は、唯雅ちゃんの体の異変に気づき、警察に通報しました。
唯雅ちゃんは体脂肪がほとんどなく、極度に痩せていました。
さらに全身にはエアガンで撃たれた合計71カ所の弾の痕があり、両手両足や肋骨は23本、あわせて31カ所も折れていたのです。
◆藍受刑者の知人
「(葬儀に行った人は)子供自体が小さいと言っていた。(唯雅ちゃんの)お葬式に見た体があばらが凄く見えていた。体も全部傷だらけと聞いた」
逮捕後、常慶被告は警察の調べに「エアガンは自分の趣味」としつつ
◆常慶被告の供述(取材による)
「長男が撃ったのではないか」
「置き去りにはしたが骨折や低栄養はわからなかった」
などと容疑を否認しました。
2022年2月から、保護責任者遺棄致死の罪に問われた妻の藍受刑者の裁判員裁判が始まり、弁護側は「被告には知的障害があり育児スキルが十分ではなかった」「被告の精神年齢は12歳で故意は認められない」と無罪を主張しました。
藍受刑者自身も「唯雅は、死亡前日までいつも通り食事をとり動いていた」「異常には全く気づかなった」と訴えました。
しかし、一審判決で福岡地裁の溝国禎久裁判長は、常慶被告による唯雅ちゃんへのエアガン虐待や藍受刑者に対するDVを認定した上で
◆裁判長(取材による)
「被告人は被害者の要保護状態を認識していたと推認するのが合理的である」
「不合理な弁解に終始して反省の態度が見られない」
「常慶被告にDVを受けていたことを踏まえても強い非難は免れない」
などとして藍受刑者に懲役8年を言い渡しました。
この判決を不服とした藍受刑者は控訴。
2022年7月、福岡高裁の松田俊哉裁判長は「一審判決には何らの審理不尽や不合理な点はない」として控訴を棄却しました。
藍受刑者は上告しましたが、最高裁もそれを退け、2022年11月に刑が確定。
刑務所に収監されました。
藍受刑者の判決で、すでにエアガンでの虐待などが認められているなか、常慶被告は初公判で何を語るのかー。
注目の裁判は1月16日午前10時から始まります。
父親の素顔と事件の背景を追いました。
◆常慶被告を知る人
「外ではめっちゃ良い子、ニコニコやし、人当たりはいいと思う。けど、キレたら危ないかな」
知人女性が見た男の二面性。
保護責任者遺棄致死の罪に加え、傷害の罪にも問われている田川市の建設業・常慶雅則(じょうけい・まさのり)被告(27)です。
◆当時のニュースより(2019年11月6日OA)
「速報が入ってきました。1歳の男の子をエアガンで撃ちケガをさせた疑いで、ともに24歳の両親が逮捕されました」
事件が水面下で起きていたのは、この放送のさらに1年前。
起訴状などによりますと、常慶被告は2018年11月下旬ごろ、当時1歳の三男・唯雅(ゆいが)ちゃんに向けてエアガンを至近距離から何度も撃ち大ケガをさせたほか、妻の藍(あい)受刑者と共謀し、2018年12月1日、重度の低栄養状態だった唯雅ちゃんに適切な治療を受けさせず、肺炎で死亡させたとされています。
◆記者リポート(田川警察署、2019年11月)
「午前8時前です。常慶容疑者の身柄が検察庁に送られます」
逮捕から3年あまり。
1月16日から始まる常慶被告の裁判員裁判。
そもそも常慶被告とはどんな人物なのか。
あの一家に何が起きていたのか。
◆常慶被告を知る人
「祭りに関しては非常に一生懸命にやってくれていたし、このような事件になって非常に大変驚いているというのが正直なところ」
事件現場となった団地に幼い頃から住んでいた常慶被告。
地元の行事には積極的に参加するなど好青年の一面もあったといいます。
◆近常慶被告を知る人
「『お兄ちゃーん』みたいな感じで来た子でしたね。結構かわいらしいような」
常慶被告と藍受刑者には2015年に長男が、翌年には二男が誕生しました。
そして2017年、今回の事件の被害者である三男・唯雅ちゃんが生まれたのです。
これは藍受刑者が、唯雅ちゃんの出産前にSNSに書き込んだ投稿です。
◆藍受刑者のツイッター(2017年11月7日)
「今日もご機嫌かわいすぎか~」
2018年夏には長女も誕生し、円満な家庭にも見えた常慶被告の一家。
しかし、藍受刑者の知人は常慶被告の知られざる一面を語ります。
◆記者
「常慶被告の印象は?」
◆藍受刑者の知人
「全然普通の男の子。めっちゃ感じのいい子で、でも段々ちょっと深く入るにつれて自分を出してくる。その時に見たのが、藍(受刑者)を叩く男だった。顔とか踏まれるし、髪の毛引っ張るし、(常慶被告を)止めるしかない。(常慶被告は)『お前、何しよるか!』とガッと言ったと思ったら優しくなるのよ。DVの特徴的な。人間が変わる、そんな子なんよね」
常慶被告からDVを受けていたという藍受刑者。
時に木刀で殴られることもあったといいます。
◆藍受刑者の知人
「藍自体の体には傷はあった。だから藍は守らないといけないと思ったけど(常慶被告から)離れない。たぶん力で抑えられたか、洗脳されて精神的に抑えられたか」
藍受刑者の知人は、常慶被告の暴力は子供にも向けられたと話します。
◆藍受刑者の知人
「(藍の話では)『最近子供を叩くようになった』みたいな。常慶被告は子供が好きじゃないと思う。子供といつまでも対等な関係。弱いものしか叩ききらんと思う」
自宅周辺でも常慶一家の様子を不審に思う住民たちがいました。
◆近所の人
「子供の声がせんし、子供を抱いとるところも見たことないし。部屋に入った途端にぶわっとゴミが散らかっとるとか、そんな感じ」
◆近所の人
「暗い…明るい家庭じゃない」
田川市には唯雅ちゃんの異変について通報が寄せられたこともありました。
◆田川市の会見(2019年11月)
「2018年7月5日、市民より本児(唯雅ちゃん)の泣き声がしないことや、姿を見かけないという相談があっております」
田川市によると、通報から20日後に保健師が唯雅ちゃんの姿を確認。
しかし、その際はあざなどはみられなかったということです。
それから約4カ月後、事件は起きました。
◆藍受刑者からの通報(2018年12月1日、取材による)
「数分前に唯雅が急に泣いて、息が止まり、意識もない」
藍受刑者からの119番で現場に駆け付けた救急隊員は、唯雅ちゃんの体の異変に気づき、警察に通報しました。
唯雅ちゃんは体脂肪がほとんどなく、極度に痩せていました。
さらに全身にはエアガンで撃たれた合計71カ所の弾の痕があり、両手両足や肋骨は23本、あわせて31カ所も折れていたのです。
◆藍受刑者の知人
「(葬儀に行った人は)子供自体が小さいと言っていた。(唯雅ちゃんの)お葬式に見た体があばらが凄く見えていた。体も全部傷だらけと聞いた」
逮捕後、常慶被告は警察の調べに「エアガンは自分の趣味」としつつ
◆常慶被告の供述(取材による)
「長男が撃ったのではないか」
「置き去りにはしたが骨折や低栄養はわからなかった」
などと容疑を否認しました。
2022年2月から、保護責任者遺棄致死の罪に問われた妻の藍受刑者の裁判員裁判が始まり、弁護側は「被告には知的障害があり育児スキルが十分ではなかった」「被告の精神年齢は12歳で故意は認められない」と無罪を主張しました。
藍受刑者自身も「唯雅は、死亡前日までいつも通り食事をとり動いていた」「異常には全く気づかなった」と訴えました。
しかし、一審判決で福岡地裁の溝国禎久裁判長は、常慶被告による唯雅ちゃんへのエアガン虐待や藍受刑者に対するDVを認定した上で
◆裁判長(取材による)
「被告人は被害者の要保護状態を認識していたと推認するのが合理的である」
「不合理な弁解に終始して反省の態度が見られない」
「常慶被告にDVを受けていたことを踏まえても強い非難は免れない」
などとして藍受刑者に懲役8年を言い渡しました。
この判決を不服とした藍受刑者は控訴。
2022年7月、福岡高裁の松田俊哉裁判長は「一審判決には何らの審理不尽や不合理な点はない」として控訴を棄却しました。
藍受刑者は上告しましたが、最高裁もそれを退け、2022年11月に刑が確定。
刑務所に収監されました。
藍受刑者の判決で、すでにエアガンでの虐待などが認められているなか、常慶被告は初公判で何を語るのかー。
注目の裁判は1月16日午前10時から始まります。
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