1. HOME
  2. 医療ヘリ3人死亡事故から1週間 “機体の異音” “整備に問題なし”に元ドクターヘリのパイロットは 捜索開始まで“空白の1時間”も焦点に

医療ヘリ3人死亡事故から1週間 “機体の異音” “整備に問題なし”に元ドクターヘリのパイロットは 捜索開始まで“空白の1時間”も焦点に

事件・事故

2025/04/14 17:50

長崎の対馬から福岡の病院に向かっていた医療搬送用のヘリコプターが海で転覆した状態で見つかり3人が死亡した事故から1週間あまりが経ちました。

機体のトラブルが事故につながった可能性もあり、原因の究明が進められています。

◆記者リポート(7日)
「壱岐の島沖の上空です。海の上に黄色いフロートを確認できます。下には白い機体のヘリコプターが確認できます」

4月6日、長崎県の壱岐島沖で、医師や患者6人が乗った医療搬送用のヘリコプターが福岡市の福岡和白病院に向かう途中で消息をたち、海で転覆した状態で見つかった事故。

この事故で、転覆した機内で見つかった女性患者(86)と付き添いの息子(68)、男性医師(34)の3人が死亡しました。



◆記者リポート(9日)
「今ヘリコプターが引き上げてられてきました。『ホワイトバード』という機体の名が見てとれます」

海から引き揚げられたヘリの機体は回転翼が大きく破損。

操縦席の前方の窓ガラスは割れた状態でした。



国の運輸安全委員会は事故の原因を調べる調査官を派遣。

事故を起こした機体の状況が徐々に明らかになってきました。

◆運輸安全委員会事務局 奥山克也 航空事故調査官
「機体の損傷状況はメインローターが全て折損している。根元まで折損。右に回転しながら接水したような兆候はありました」



さらに、ヘリを運航していた「エス・ジー・シー佐賀航空」はー

◆エス・ジー・シー佐賀航空 中山博樹 代表取締役
「(機長が)『どうしても不時着をせざるを得ないと判断し、フロート(浮具)を開くスイッチを入れた』ということは聞きました」

また機長は、会社側の聴き取りに対し「機体の後方もしくは上部から異音があった」とも話しているということです。



事故原因は機体のトラブルなのか。

事故機と同型ヘリの操縦経験があり、総飛行時間1万6000時間にのぼる元ドクターヘリパイロットの石橋清氏はー

◆元ドクターヘリパイロット 石橋清 氏
「ここの大きな羽(メインローター)からギアで分岐してここ(機体中央部)にシャフトが入っていて、それが回っている。それがどこか外れたり切れたらこっち(テールローター)にパワーがいかなくなるので、うしろのしっぽのテールローターが壊れると、運が悪ければ、条件が悪ければ、今回のように墜落にいたる可能性がある」



機体の整備に問題はなかったのか。

事故当日の会見でヘリの運行会社はこう説明しました。

◆エス・ジー・シー佐賀航空 衛藤孝憲 運航管理(6日)
「点検・整備は毎日やっている。定期的な点検につきましては4日に50時間の点検を実施した」

Q.特段異常は見つかっていない?
◆エス・ジー・シー佐賀航空 衛藤孝憲 運航管理
「それはなかったものと認識している」

機体に異常はなかったと主張する運航会社側。

これについて専門家はー



◆元ドクターヘリパイロット 石橋清 氏
「点検を怠ったとか工具類を置き忘れたとかねじを締め忘れたとか、色んな可能性が出てくるんで、そうするとそこにミスが出る可能性もないとは言えない」

唐津海上保安部はヘリの運航会社を業務上過失致死傷などの疑いで捜索していて、機長の操縦を巡る過失の有無やヘリの管理責任などについて捜査を進めています。



今回の事故で見過ごせないポイントが、“空白の1時間”。

事故が起こった6日の動きを時系列で見ていくと…

■ヘリが対馬空港を離陸したのが午後1時30分

■その17分後、午後1時47分にレーダー上からヘリの航跡が消える

■運航会社が関係機関へ通報したのは午後2時20分

■海上保安部が捜索を開始したのは2時50分

つまり、「異変が起きてから捜索を開始する」までに約1時間が掛かっていることになり、まさにこれが“空白の1時間”です。

運航会社は「遭難したかどうかをすぐには判断できなかった」と説明していますが、こうした対応も捜査の焦点となりそうです。
長崎の対馬から福岡の病院に向かっていた医療搬送用のヘリコプターが海で転覆した状態で見つかり3人が死亡した事故から1週間あまりが経ちました。

機体のトラブルが事故につながった可能性もあり、原因の究明が進められています。

◆記者リポート(7日)
「壱岐の島沖の上空です。海の上に黄色いフロートを確認できます。下には白い機体のヘリコプターが確認できます」

4月6日、長崎県の壱岐島沖で、医師や患者6人が乗った医療搬送用のヘリコプターが福岡市の福岡和白病院に向かう途中で消息をたち、海で転覆した状態で見つかった事故。

この事故で、転覆した機内で見つかった女性患者(86)と付き添いの息子(68)、男性医師(34)の3人が死亡しました。
◆記者リポート(9日)
「今ヘリコプターが引き上げてられてきました。『ホワイトバード』という機体の名が見てとれます」

海から引き揚げられたヘリの機体は回転翼が大きく破損。

操縦席の前方の窓ガラスは割れた状態でした。
国の運輸安全委員会は事故の原因を調べる調査官を派遣。

事故を起こした機体の状況が徐々に明らかになってきました。

◆運輸安全委員会事務局 奥山克也 航空事故調査官
「機体の損傷状況はメインローターが全て折損している。根元まで折損。右に回転しながら接水したような兆候はありました」
さらに、ヘリを運航していた「エス・ジー・シー佐賀航空」はー

◆エス・ジー・シー佐賀航空 中山博樹 代表取締役
「(機長が)『どうしても不時着をせざるを得ないと判断し、フロート(浮具)を開くスイッチを入れた』ということは聞きました」

また機長は、会社側の聴き取りに対し「機体の後方もしくは上部から異音があった」とも話しているということです。
事故原因は機体のトラブルなのか。

事故機と同型ヘリの操縦経験があり、総飛行時間1万6000時間にのぼる元ドクターヘリパイロットの石橋清氏はー

◆元ドクターヘリパイロット 石橋清 氏
「ここの大きな羽(メインローター)からギアで分岐してここ(機体中央部)にシャフトが入っていて、それが回っている。それがどこか外れたり切れたらこっち(テールローター)にパワーがいかなくなるので、うしろのしっぽのテールローターが壊れると、運が悪ければ、条件が悪ければ、今回のように墜落にいたる可能性がある」
機体の整備に問題はなかったのか。

事故当日の会見でヘリの運行会社はこう説明しました。

◆エス・ジー・シー佐賀航空 衛藤孝憲 運航管理(6日)
「点検・整備は毎日やっている。定期的な点検につきましては4日に50時間の点検を実施した」

Q.特段異常は見つかっていない?
◆エス・ジー・シー佐賀航空 衛藤孝憲 運航管理
「それはなかったものと認識している」

機体に異常はなかったと主張する運航会社側。

これについて専門家はー
◆元ドクターヘリパイロット 石橋清 氏
「点検を怠ったとか工具類を置き忘れたとかねじを締め忘れたとか、色んな可能性が出てくるんで、そうするとそこにミスが出る可能性もないとは言えない」

唐津海上保安部はヘリの運航会社を業務上過失致死傷などの疑いで捜索していて、機長の操縦を巡る過失の有無やヘリの管理責任などについて捜査を進めています。
今回の事故で見過ごせないポイントが、“空白の1時間”。

事故が起こった6日の動きを時系列で見ていくと…

■ヘリが対馬空港を離陸したのが午後1時30分

■その17分後、午後1時47分にレーダー上からヘリの航跡が消える

■運航会社が関係機関へ通報したのは午後2時20分

■海上保安部が捜索を開始したのは2時50分

つまり、「異変が起きてから捜索を開始する」までに約1時間が掛かっていることになり、まさにこれが“空白の1時間”です。

運航会社は「遭難したかどうかをすぐには判断できなかった」と説明していますが、こうした対応も捜査の焦点となりそうです。

あなたにおすすめ

  1. HOME
  2. 医療ヘリ3人死亡事故から1週間 “機体の異音” “整備に問題なし”に元ドクターヘリのパイロットは 捜索開始まで“空白の1時間”も焦点に