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【独自】「嫁さんのために…」 新聞『お悔やみ欄』見て空き巣した男 「人生の半分以上は刑務所」 記者に語った手口と動機 福岡

事件・事故

9時間前

福岡県と佐賀県で空き巣などを繰り返していた75歳の“ベテラン窃盗犯”の男に判決です。

判決を前にTNCの記者に打ち明けたのは、驚くべき盗みの手口と予想外の動機でした。
9日、福岡地裁久留米支部で開かれた裁判。

神妙な面持ちで法廷に現れたのは、去年11月、佐賀県内の住宅に侵入して現金30万円を盗んだ罪などに問われた無職・笹野邦俊被告(75)です。

捜査関係者によりますと、笹野被告は空き巣の世界ではその道数十年のベテラン。

今回起訴された事件以外に、十数件の窃盗に関与したと疑われている人物でした。
笹野被告はどのような手口で盗みを重ねてきたのか。

TNCの記者は判決の前の週に笹野被告と接見し、直接尋ねてみました。

Q.いつから空き巣をやっていた?
◆笹野邦俊被告
「いつからって、だいぶ前よ。俺の人生の半分以上は刑務所よ、40年以上は」

Q.どうやって空き巣に入ってた?
「いろいろ。というか、あんまり(手口を)表に出したくないんよね。私のやり方を真似するやつが出てくるけん。私としても、大っぴらに世間に出したくないんよ」
そう主張しながらも、笹野被告は驚くべき盗みの手口を告白し始めます。

Q.どうやって空き巣に入るところを決めた?
◆笹野邦俊被告
「新聞で。そこが『留守』やから」

一体、どのように新聞を悪用したのか。

それが…<新聞の「お悔やみ欄」>

新聞の「お悔やみ欄」とは、亡くなった人の名前や住所、さらに通夜の日時などが掲載されている紙面のことです。

笹野被告はこの「お悔やみ欄」を見て、犯行先を決めていたというのです。
その上で、この手口は「第三者から伝授されたもの」だと語りました。

◆笹野邦俊被告
「数年前、熊本市の公園におる時に、たまたま知り合った男がおって、そいつが考えた」

Q.その男は何者ですか?
「泥棒やっとったやつで、そいつが盗んできたものを俺が売りよったんよ。『盗んだものを、さばいて(売って)もらえんか?』と言われて、『どういう手口で盗んだん?』って聞いたら、『新聞のお悔やみ欄で』という感じで」

Q.その手口を聞いてどう思った?
「すごいね。アイデアとしては良いなと思ったね」

その後、笹野被告はコンビニエンスストアで新聞を購入。

「お悔やみ欄」を確認し、亡くなった人の通夜の時間帯を目がけて留守中の住宅への侵入を繰り返したといいます。

Q.この方法で全部で何件くらいやった?
「十何件くらい」

Q.誰もいない家に侵入した後どうやって現金や金目のモノを探した?
「そこらへん探したらあるやろ」
では、なぜ笹野被告は「お悔やみ欄」を悪用した空き巣に手を染めたのでしょうか。

Q.働いて稼ごうとは思わなかった?
◆笹野邦俊被告
「働いて稼ごうと思ったけど、追いつかんかったんよ」

Q.盗んだお金は何に使った?
「嫁さんのために使った。生活費」

笹野被告には、5年前に知り合い結婚した19歳年下の妻がいました。

この妻のために盗みを続けていたというのです。

詳しく話を聞いてみるとー

「嫁さんも事件起こして逃げとったんよ」

Q.え?どんな事件ですか?
「俺の事件とは関係ないよ。ただ、逃げるのに移動したり、生活したりするのに金がいるやろ?」

なんと“妻の逃亡”のために空き巣を行っていたのです。

笹野被告によりますと、妻は現在、刑務所に入っているといいます。

Q.被害者に対しては今どんな気持ち?
「本当に申し訳ないと思っています。心から反省しています」

Q.75年の人生に後悔はある?
「後悔って言っても後悔しようがない。でも俺は、嫁さんと5年前に知り合って、嫁さんとおれるだけで幸せ。嫁さんと知りあったことが一番幸せというか!毎日(刑務所の)嫁さんに手紙出しとるよ!『愛してるよ』って」

検察から懲役4年を求刑されていた笹野被告。

そして9日、司法が下した判断はー

「主文、被告人を懲役3年6カ月年に処する」

杉本正則裁判官は、判決の理由として「新聞のお悔み欄を見て、通夜で留守にした家を見繕う手口は一定の計画性があり人倫にもとる」と指摘。

「妻のため」という犯行動機については「犯行をなんら正当化するものではなく再犯の恐れも相応に高い」として、笹野被告に懲役3年6カ月の実刑判決を言い渡しました。

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