コメ価格2倍で「万能パン」人気沸騰　備蓄米の新たな対策にも「価格変わらない」の声　割安な輸入米販売も広がる　福岡

コメ価格の高止まりが続く中、政府は備蓄米を小売店に優先的に販売する新たな対策を打ち出しました。

長引く価格高騰の影響は思いがけないところにまで広がっています。

福岡市中央区にあるベーカリーショップ「リボリ」。

毎朝、店頭にはさまざまな種類の焼きたてのパンが並びます。

子供から大人まで幅広い世代に人気のウインナーパンや、ボリューム満点のサンドイッチは開店から1時間半で売り切れることもあるという人気商品です。

◆来店客
「お値段の割に本当においしいし、おばちゃんたちも優しいのでここ何年も通っている」

創業69年と長年、地域で親しまれてきた店ですが、最近はある変化が…。

◆リボリ　萩原泰三 代表
「いまお米が高くなった。おにぎり一個が150円する時代なので、万能パンというのを作った。少しでもご飯の代わりになるようなパンを増やしていきたいと思っています」

「万能パン」とはコッペパンのこと。

コメの価格が高止まりする中、好きな具材を挟んでアレンジできることからおにぎり代わりとして人気が高まっているといいます。

◆来店客
「前は夜に多めに炊いておにぎりを作って、次の日の朝ご飯用にとかもしてたけど、そういうの（万能パン）があるときは買って、ハンバーグを作っていたのを挟んでハンバーガーにしたこともある」

万能パンを求めてお店に足を運ぶ回数が増えたという人も少なくありません。

依然として高止まりの状態が続くコメの価格。

今週発表された全国のスーパーのコメ5キロの平均販売価格は去年12月以来、18週ぶりに値下がりしましたが、税込み4214円と依然として去年の2倍ほどの水準が続いています。

家計への負担が続く中、消費者は…。

◆買い物客
「高いと思いますね」

「数カ月前の2倍になっている。家計的にもやっぱり苦しいですよね」

こうした状況を受け政府は16日、スーパーや米店向けに備蓄米を優先的に販売するための入札枠を設けると発表しました。

◆江藤農水相
「消費者の方々の期待されるような価格、スピード感で出せるようになることをぜひ期待しております。タイムギャップは相当縮小される、スピーディになるということは当然です」

新たな対策では備蓄米入札でスーパー向けに4万トン、小規模な米店向けに2万トンとする優先枠を設けるほか、今年収穫されるコメは備蓄米としての買い入れを当面行わず、店頭での販売量増加につなげたい考えです。

しかし、コメを扱う福岡の店は…。

◆そがべ商店　曽我部隆徳 代表
「来年の秋口くらいまでは変わらないのじゃないか。このままの価格で推移するのでは」

北九州市戸畑区で70年以上コメを扱うこちらの商店。

店で取り扱う島根県産「きぬむすめ」はこの一年で5キロ2700円だったのが、4500円まで値上がり。

14日には政府の備蓄米が約100キロ届きましたが、在庫確保の不安は消えません。

◆そがべ商店　曽我部隆徳 代表
「先取り先取り…で在庫があるうちに卸に頼んで、うまく売っていくよう考えています」

影響は店の名物のポン菓子にも。

コメの高騰に伴い100円から180円に値上げせざるを得ない状況です。

◆そがべ商店　曽我部隆徳 代表
「子どもの駄菓子だったが、ちょっとランクが上がった感じがします」

一向にコメの価格が落ち着かない中、輸入米も広がりを見せています。

今週、イオンが在日アメリカ大使館で行ったのはカリフォルニア産の「カルローズ米」を100％使用した「かろやか」の発表会です。

イオンはこのカルローズ米を6月上旬から全国のグループ店舗で順次販売する予定で、販売価格は国産米よりも割安な4キロ当たり2680円だということです。

私たちの食卓に様々な変化をもたらしているコメ価格の高騰。

政府による備蓄米の放出の効果が実感できるのは一体、いつになるのでしょうか。

食パンとごはん（米）の価格を詳しく比較した調査結果があります。

食パンは現在は6枚切りが1枚32円、4枚切りが1枚48円。

一方、こしひかり5キロ4363円を茶碗1杯に換算すると57円となり、食パン1枚よりご飯1杯の方が高いということになります。

コメが高騰する前の2023年の水準（5キロ2000円台前半）で換算すると1杯30円となりますので、この2年ほどで価格が逆転したことになります。