2022/01/22 15:00
ソフトバンク小久保2軍監督は”ネット世代”をどう育てていく?「そんなに悪くないのに形を崩す」
ホークス
2022/01/22 15:20
ソフトバンクの小久保裕紀2軍監督(50)が選手たちの指導方針を明かした。ヘッドコーチから2軍監督に配置転換となって初めて迎える2月の春季キャンプを「見極め」の期間に設定。個々の選手のスキルや経験値を判断した上で、それぞれのレベルに応じて接していく考えだ。昨秋のキャンプで若手選手に自己評価シートの提出を求めたことも明かし、中長期的な人間づくりと並行して覇権奪回に欠かせない戦力を1軍へ送り込む。(TNC「福岡NEWSファイルCUBE」22日オンエアより)
◇ ◇ ◇
ー今年最初の筑後視察は15日だった。新人たちに伝えたことは
この世界は体が資本。体が強くなかったらプロでは生きていけない。この(自主トレ)期間、キャンプを含めて、しっかり体を鍛えて、体力のない子は基礎体力をあげて。そういう地道なあまりやりたくないような練習をやり続けることによって基礎ができるので、まずは強い体をつくりましょうと。あとは自分がどういうプレーヤーになりたいか。これはどの世界でも一緒。ちょっと自分がこうなりたいな、くらいならなれない。起きている間も寝るときも、将来絶対こうなってやるんだというような、寝ている時も夢にでてくるくらい心に思い描かないと手に入れられない。強く熱く、野球のことで頭がいっぱいっていうような、そんな強い意志を持とうと話した。あとはこの世界、打撃でいえば3割が成功、7割が失敗。失敗の方が多いわけです。思うようにいかないことはたくさんあるので、その時にしっかりプラスの方向に考えや行動で一歩踏み出せるように、そういう忍耐強さを身につけてほしい、と。ダメだからと投げやりになるのではなく、しっかり我慢した中で新しい一歩を踏み出せる、そういう三つの強さを求めたいという話はしました。
ー昨秋にヘッドコーチから配置転換となった。求められる役割が変わる中で自らの指導方針をどう考えるか
1軍はコーチング。導きながら勝つためのにやることが多いが、ファームはティーチングになる。スキルや経験値が足りていないとわれわれ首脳陣が判断した選手はある程度”たたき込み”が必要。その選手とそうではない選手の見極めを2月のキャンプでやらなければいけない。スキル、経験値が少ない中で考えを引き出そうとしても、結局はあまり出てこない。ある一定の基準を満たした選手なら問題意識があって自分のこういうところが問題だからそれに対する練習方法は...というのが出てくると思うが、そこまで出てこないような選手も預かるわけなので、ティーチングとコーチングというところをしっかり自分の中で分けて選手と接するのが一番ですね。
ー昨年の秋季キャンプで若手中心に「自己評価シート」を提出させたと聞いた。狙いや内容は
まずは自分の長所。僕らが見ているものと本人が思っているものがどう違うのかという部分に興味があった。あとは自分自身が将来なりたいプレーヤー像を書いてほしい、と。あまりにもかけ離れていたら修正が必要。プロ1、2年目の子たちはのびのびとやらせていいと思うが、中堅の6.7年たってまだ半1軍の選手があまりにも遠すぎる夢を持っている、たとえばホームランバッターになりたいと言いながらどう見ても練習からホームランを打てないのに振り過ぎている選手などは、ちょっとスタイルを変えた方がいいんじゃないのか?っていうようなところの情報が欲しいと思ったので、本人がどこを目指してやっているのかっていうのを2つ目に書かせて、三つ目は一番影響を受けた人物。その3項目を出させた。
ー内容は言えないと思うが、どんな形式のものか言える範囲で。例えばノートとか、書く分量の指定などは
ノートなどの指定は何もしていなかったけど、まあ個性が…本当にバラバラだった(笑)。ペラ紙1枚だったり、自分が普段書いている野球ノートだったり。自分のノートだったら返さないといけないので、もう一度コピーして出させ直したり。そういう点でもそれぞれの性格が見て取れた。あとは、やってよかったと思ったのが書き残しておく癖づけ。自分のノートを作るきっかけにもなるだろうから。「その話はメモをした方がいい」というような話はいつもしているが、調子が悪くなるとヒントになるので絶対に書き留めておいた方がいい。そういうきっかけになればいい。
ー小久保2軍監督は現在50歳。世代間のギャップはいつの時代も言われるが、今で言えばいわゆる「Z世代」と接する上での難しさなどはあるか。
いろいろ考えた中で自分がこれだけしたからっていうものがあるんですが、その量をこなせば全員そうなるのかというと、そうではない。自分がやってきたこと、技術的なことだけではなく取り組み方も含めて、練習の量や質、それを少ししかできない選手ともこれから接することになるので、自分の方から歩み寄っていこうかなとは思っている。「なぜできないんだ」というよりは、一緒にできない理由を考えながら、コミュニケーションをとって入っていきたい。上から下の一方通行では難しいと思うが、甘やかすのとは違う。聞いてあげる。選手の方から話をさせるのも大切なこと。
ー昨秋のキャンプでは2軍の首脳陣に「まずは選手の話を聞いてほしい」と伝えたとも話していた。
上からこうしなさいというだけではなく、どう感じて練習に取り組んでいるかも含め聞いてほしいと。今の子たちはネットで情報が全て簡単に入る時代なので、どっちかというと頭でっかち。(ヘッドコーチだった昨年)リチャードの時も感じた。そんなに悪くないのに、その形を崩す。キャンプに入って選手に言おうと思っているが1000、2000の型が10通りあるより、何万回、何百万回と自分でやった反復練習が一つ二つある方が僕は強いと思う。ある程度我慢して自分が信じたことをやり続けることが大事。情報が多すぎるからあれをやってみようという型をつくる前に次に移ってしまう。型はつくったあとに破るもので、そこから自分のオリジナルが出てくる。その前に一つのことをやり続けるのも大切だよと伝えたい。
ー今年のチームとしての目標は覇権奪回になると思うが、その中で自らが果たす役割をどう考えるか
2軍監督として何ができるか。1軍に1人でも多くの選手を送り出すこと、同時に預かったばかりの選手の人づくりというか教育も必要。その辺を両立しながらになる。選手を育てるというより、いい環境を与えて、いい時間を過ごさせることによって巣立つのだと信じてやりたい。
ー24日にはキャンプメンバー(A、B組=宮崎、C組=福岡県筑後市)の振り分けが決まる。
今年は3軍(C組)が初めて築後に残る。1軍(A組)選手を選んでもらったあとに(3軍の)小川監督と相談しながらメンバー振りをしていく。コロナが心配で、どれだけの選手が動けるのかっていうのは読めないところもあって、あくまでも仮のメンバー決めになるのかなと思う。逆に彼らがスタートを切れないのであれば若い選手にとっては(宮崎に)行ける可能性がある。その選手にはプラスに捉えてほしい。喜ぶわけではないが、アピールできるチャンスだと捉えてほしい。
(聞き手・構成=山本泰明)
◇ ◇ ◇
ー今年最初の筑後視察は15日だった。新人たちに伝えたことは
この世界は体が資本。体が強くなかったらプロでは生きていけない。この(自主トレ)期間、キャンプを含めて、しっかり体を鍛えて、体力のない子は基礎体力をあげて。そういう地道なあまりやりたくないような練習をやり続けることによって基礎ができるので、まずは強い体をつくりましょうと。あとは自分がどういうプレーヤーになりたいか。これはどの世界でも一緒。ちょっと自分がこうなりたいな、くらいならなれない。起きている間も寝るときも、将来絶対こうなってやるんだというような、寝ている時も夢にでてくるくらい心に思い描かないと手に入れられない。強く熱く、野球のことで頭がいっぱいっていうような、そんな強い意志を持とうと話した。あとはこの世界、打撃でいえば3割が成功、7割が失敗。失敗の方が多いわけです。思うようにいかないことはたくさんあるので、その時にしっかりプラスの方向に考えや行動で一歩踏み出せるように、そういう忍耐強さを身につけてほしい、と。ダメだからと投げやりになるのではなく、しっかり我慢した中で新しい一歩を踏み出せる、そういう三つの強さを求めたいという話はしました。
ー昨秋にヘッドコーチから配置転換となった。求められる役割が変わる中で自らの指導方針をどう考えるか
1軍はコーチング。導きながら勝つためのにやることが多いが、ファームはティーチングになる。スキルや経験値が足りていないとわれわれ首脳陣が判断した選手はある程度”たたき込み”が必要。その選手とそうではない選手の見極めを2月のキャンプでやらなければいけない。スキル、経験値が少ない中で考えを引き出そうとしても、結局はあまり出てこない。ある一定の基準を満たした選手なら問題意識があって自分のこういうところが問題だからそれに対する練習方法は...というのが出てくると思うが、そこまで出てこないような選手も預かるわけなので、ティーチングとコーチングというところをしっかり自分の中で分けて選手と接するのが一番ですね。
ー昨年の秋季キャンプで若手中心に「自己評価シート」を提出させたと聞いた。狙いや内容は
まずは自分の長所。僕らが見ているものと本人が思っているものがどう違うのかという部分に興味があった。あとは自分自身が将来なりたいプレーヤー像を書いてほしい、と。あまりにもかけ離れていたら修正が必要。プロ1、2年目の子たちはのびのびとやらせていいと思うが、中堅の6.7年たってまだ半1軍の選手があまりにも遠すぎる夢を持っている、たとえばホームランバッターになりたいと言いながらどう見ても練習からホームランを打てないのに振り過ぎている選手などは、ちょっとスタイルを変えた方がいいんじゃないのか?っていうようなところの情報が欲しいと思ったので、本人がどこを目指してやっているのかっていうのを2つ目に書かせて、三つ目は一番影響を受けた人物。その3項目を出させた。
ー内容は言えないと思うが、どんな形式のものか言える範囲で。例えばノートとか、書く分量の指定などは
ノートなどの指定は何もしていなかったけど、まあ個性が…本当にバラバラだった(笑)。ペラ紙1枚だったり、自分が普段書いている野球ノートだったり。自分のノートだったら返さないといけないので、もう一度コピーして出させ直したり。そういう点でもそれぞれの性格が見て取れた。あとは、やってよかったと思ったのが書き残しておく癖づけ。自分のノートを作るきっかけにもなるだろうから。「その話はメモをした方がいい」というような話はいつもしているが、調子が悪くなるとヒントになるので絶対に書き留めておいた方がいい。そういうきっかけになればいい。
ー小久保2軍監督は現在50歳。世代間のギャップはいつの時代も言われるが、今で言えばいわゆる「Z世代」と接する上での難しさなどはあるか。
いろいろ考えた中で自分がこれだけしたからっていうものがあるんですが、その量をこなせば全員そうなるのかというと、そうではない。自分がやってきたこと、技術的なことだけではなく取り組み方も含めて、練習の量や質、それを少ししかできない選手ともこれから接することになるので、自分の方から歩み寄っていこうかなとは思っている。「なぜできないんだ」というよりは、一緒にできない理由を考えながら、コミュニケーションをとって入っていきたい。上から下の一方通行では難しいと思うが、甘やかすのとは違う。聞いてあげる。選手の方から話をさせるのも大切なこと。
ー昨秋のキャンプでは2軍の首脳陣に「まずは選手の話を聞いてほしい」と伝えたとも話していた。
上からこうしなさいというだけではなく、どう感じて練習に取り組んでいるかも含め聞いてほしいと。今の子たちはネットで情報が全て簡単に入る時代なので、どっちかというと頭でっかち。(ヘッドコーチだった昨年)リチャードの時も感じた。そんなに悪くないのに、その形を崩す。キャンプに入って選手に言おうと思っているが1000、2000の型が10通りあるより、何万回、何百万回と自分でやった反復練習が一つ二つある方が僕は強いと思う。ある程度我慢して自分が信じたことをやり続けることが大事。情報が多すぎるからあれをやってみようという型をつくる前に次に移ってしまう。型はつくったあとに破るもので、そこから自分のオリジナルが出てくる。その前に一つのことをやり続けるのも大切だよと伝えたい。
ー今年のチームとしての目標は覇権奪回になると思うが、その中で自らが果たす役割をどう考えるか
2軍監督として何ができるか。1軍に1人でも多くの選手を送り出すこと、同時に預かったばかりの選手の人づくりというか教育も必要。その辺を両立しながらになる。選手を育てるというより、いい環境を与えて、いい時間を過ごさせることによって巣立つのだと信じてやりたい。
ー24日にはキャンプメンバー(A、B組=宮崎、C組=福岡県筑後市)の振り分けが決まる。
今年は3軍(C組)が初めて築後に残る。1軍(A組)選手を選んでもらったあとに(3軍の)小川監督と相談しながらメンバー振りをしていく。コロナが心配で、どれだけの選手が動けるのかっていうのは読めないところもあって、あくまでも仮のメンバー決めになるのかなと思う。逆に彼らがスタートを切れないのであれば若い選手にとっては(宮崎に)行ける可能性がある。その選手にはプラスに捉えてほしい。喜ぶわけではないが、アピールできるチャンスだと捉えてほしい。
(聞き手・構成=山本泰明)
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