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長崎・壱岐沖 医療搬送ヘリ事故 3人死亡なぜ? 本格的な調査始まる 運航会社は過去にも複数の墜落事故

事件・事故

7時間前

患者を運んでいた医療搬送用のヘリコプターが6日、長崎県壱岐沖で転覆しているのが発見され3人が死亡した事故で、7日、本格的な調査が始まりました。

7日午前7時半すぎ、長崎県・壱岐島北東の海上には、海面に機体がひっくり返った状態で浮かんでいました。
6日午後に突然、消息がわからなくなった福岡和白病院(福岡市)の医療搬送用ヘリコプター「ホワイトバード」です。

ヘリは6日午後1時半頃、86歳の患者や付き添いの家族、医師など6人を乗せて対馬空港を離陸。

福岡市の福岡和白病院に向かいました。

しかしそのわずか13分後、ヘリの航跡がモニターに表示されなくなり、連絡が途絶えました。

病院に到着するはずだった午後2時15分を過ぎてもヘリは姿を見せませんでした。
午後2時50分ごろ、「ヘリ消息不明」の情報を受けて第七管区海上保安本部は、巡視船5隻、航空機2機などで捜索を開始。

午後5時すぎ、壱岐島の北端から北東へ約27キロの海上で転覆している状態のヘリを巡視船が発見しました。
その際、ヘリの浮き具には6人のうち機長と整備士、看護師の3人がしがみついていました。

ヘリに乗っていたほかの3人も機体の中から救助されましたが、心肺停止の状態でした。

救助された6人は福岡和白病院に救急搬送。

その後、心肺停止の状態だった患者(86)と付き添いの家族(68)、医師(34)の3人の死亡が確認されました。
一体なぜ、事故は起きてしまったのでしょうか?

Q.ヘリは病院の所有?
◆福岡和白病院 富永隆治 院長
「『佐賀航空』に依頼している。病院のものではない」

Q.年間何件くらい依頼?
◆福岡和白病院 富永隆治 院長
「年間80件くらい」

事故が起きた「ホワイトバード」は、福岡和白病院が離島やへき地などの救急医療のため独自に運用していたヘリで、その運航は「エス・ジー・シー佐賀航空」に委託されていました。
Q.整備の状況を教えていただきたい
◆エス・ジー・シー佐賀航空 衛藤孝憲 運航管理
「点検・整備は毎日やっている。定期的な点検については4日金曜日に50時間の点検を実施した」

Q.特段異常は見つかっていない?
◆エス・ジー・シー佐賀航空 衛藤孝憲 運航管理
「それはなかったものと認識している」
「エス・ジー・シー佐賀航空」をめぐっては、これまでも事故が相次いでいました。

去年7月、福岡県柳川市で搭乗員2人が死亡するヘリの墜落事故を起こしたほか、2004年12月にもエス・ジー・シー所有のヘリが有明海で墜落し、搭乗員3人が死亡しました。
なぜ“悲劇”が繰り返されているのか?

Q.事故が続けて起きていることについて
◆エス・ジー・シー佐賀航空 村田将一 安全推進室長
「昨年7月に死亡を含む事故が発生している。それ以降、ヘリコプター及び固定翼につきましても、このような状況が起こった可能性はどういうことにあるかという想定のもとに、しっかりとした再発防止及び訓練を実施して業務の再興を図っていた」

事故の再発防止を図っていたと語る会社の担当者。
福岡和白病院は去年の死亡事故を受けて「ホワイトバード」の運用を休止していたものの、事故機と異なる機種だったことから、去年11月に運用を再開していました。

◆福岡和白病院 富永隆治 院長
「病院内でもみんなの意見を聞いて、『救急医療にはかけがえのないものだ』と判断をして再開した。そういった意味では、今回の事故は本当に悲痛の極みであります。『安全である』と説明を受けて実際に私も乗って『これは大丈夫』と判断したが、今考えれば甘かったかなと」
事故から一夜が明け、7日、「エス・ジー・シー佐賀航空」は佐賀市内の本社で改めて記者会見を開きました。

◆エス・ジー・シー佐賀航空 宮原幸徳 執行役員
「不時着水により3名の尊い命を失う結果になったことを深くお詫び申し上げます。大変申し訳ございまぜんでした」

原因については…

◆エス・ジー・シー佐賀航空 宮原幸徳 執行役員
「原因は今のところまだ判明しておりません。パイロットと整備士とまだ接触できていない」

去年起きた柳川市でのヘリ墜落など度重なる事故。

記者から見解を改めて問われると…

◆エス・ジー・シー佐賀航空 宮原幸徳 執行役員
「非常に遺憾に思っている。まだ事故の原因がつかめていないので、事故の原因が判明する前に社内の安全点検を実施したい」
一方、国の運輸安全委員会は7日、航空事故調査官2人を派遣。

◆航空事故調査官 奥山克也 氏
「機内にどのような状況で皆さんが搭乗していたのか、どのように脱出したのか、可能な範囲で聞きたい」

7日午後に和白病院に入り、関係者への聞き取りを始めました。

今回の事故を受け和白病院は、緊急搬送ヘリの運用を一時停止に。

離島などの救急搬送を支える「要」が使えなくなり、地域医療に大きな影響を与えそうです。

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